先日、コンゴのエボラの発生件数が1000件超えという記事を書いたので、そもそもエボラって何? というのをまとめてみた。
私は別に医療関係者でも、科学者でもない、単なるど素人ウイルスウォッチャー(自称)なので、間違いなどなどがあるかしれないことをので、まずご了承ください。
とはいえ、信頼できると思われる公的機関や製薬会社のサイトなどをもとにまとめてみました。
最初の発見は1976年のこと。エボラはもともとは川の名前
最初に見つかったのは、1976年のこと。 スーダン(現、南スーダン)のヌザラってところの綿工場で、出血熱症状の患者が発生。
この3名の患者を源として家族内、病院内感染により流行が拡大し、合計284人が発症して151人が死亡(致死率53%)した。
出典: 栄研化学「モダンメディア」 63巻3号2017[人類と感染症との闘い] p.63
http://www.eiken.co.jp/modern_media/backnumber/pdf/2017_03/004.pdf
致死率53%! さらに同時期にザイール(今のコンゴ)のヤンブクってところで、同じような症状の病気が発生、こちらは上記資料によると「 そして318例中280名が死亡(致死率88.1%)」!
んで、このヤンブクってところの最初患者の出身地がエボラ川の付近だったところから、病原体のウイルスをエボラウイルスって名付けたみたいだ。
1976年に確認された最初の患者の出身地が、中部アフリカにあるエボラ川の付近だったことからエボラと命名されました。
出典: 同上
「エボラ川」でグーグルマップで検索すると
ってなか感じでヒットする。あれ? 川なんて無いけど、となるけど、拡大していくとちゃんと川がある。上記資料でも
かなり詳しい地図で調べてもその名前が出ていない。日本でいえば、神田川とでもいう感じである。この命名によって地元の極く少数の人々の間でのみ知られていた地名が、世界中に知れ渡った
出典: 同上 p.64
とまあとにかく超マイナーな川のようだ。
ただ、そのヤンブク (ヤンドンジってところ近くのようだ) ってところはグーグルマップで見るかぎり、この川からは結構離れているようだが…。
下記の資料ではヤンブクの最初の患者の出身地付近となっている。こっちが正しいかな?
ヤンブクで最初の患者となった男性の出身地付近を流れるエボラ川からウイルスの名前がつけられました。
出典: 公益社団法人国際厚生事業団「感染症は一国の問題ではない。~エボラ出血熱、デング熱を例に~」 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000131095.pdf
エボラウイルスは糸状などなど
うんで、そのエボラウイルスは
エボラウイルスはマールブルグウイルスと共にフィロウイルス科(Filoviridae)に属する。短径が80〜100nm 、長径が700〜1,500nm で、U 字状、ひも状、ぜんまい状等多形性を示す(旧版「エボラ出血熱とは」図2を参照)が、組織内では棒状を示し、700nm 前後のサイズがもっとも感染性が高い。
出典: 国立感染症研究所HP「ウイルス性出血熱とは」 https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/a/vhf/ebora/392-encyclopedia/342-ebora-intro.html
よくわからないし、いろいろタイプがあるようだが、こんな↓感じらしい。
んで、自然宿主はコウモリと考えられている。
自然宿主として、オオコウモリ科のオオコウモリの複数種が自然宿主ではないかと考えられている。
出典: 国立感染症研究所HP「ウイルス性出血熱とは」 https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/a/vhf/ebora/392-encyclopedia/342-ebora-intro.htm
確実なことは分からないということなのかな。「ではないかと考えられている」ってことは。
必ず出血症状ってわけでもないから最近では「エボラウイルス病」と呼ぶことが多い
エボラと言えば出血熱。素人からすると、全身から出血するってイメージだ。でも必ずしもそうでないらしい。
症状は発熱(ほぼ必発)、疼痛(頭痛、筋肉痛、胸痛、腹痛など)、無力症が多い。
出典: 厚生労働省HP 「エボラ出血熱について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708.html
2~3日で急速に悪化し、死亡例では約1週間程度で死に至ることが多い。 出血は報告にもよるが、主症状ではないことも多い(2000年ウガンダの例では約20%)。
ってことで最近は、「エボラウイルス病」と呼ぶことが多いのだそうだ。
致死率は50%~90%。感染経路は患者の血液などとの直接接触なので、インフルエンザのようには広がらない
上の厚労省のページによると、「 ザイール型では致死率は約90%、スーダン型では致死率は約50%である」。ガクブルですな。 根本的な治療法とかワクチン(実験的なのはあり、実際に使用されているもようだ)はなくて、対症療法のみとのこと。
感染経路としては同ページによると
ヒトからヒトへの感染は血液、体液、排泄物等との直接接触により、空気感染は否定的である。
出典: 同上
ってなこと。飛沫感染はどうなんだいと思ってしまうが、下記資料では
エボラ出血熱は、インフルエンザのように空気感染や飛沫感染で広がることはなく、患者に直接触れなければ感染しません。
出典: 公益社団法人国際厚生事業団「感染症は一国の問題ではない。~エボラ出血熱、デング熱を例に~」 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000131095.pdf
飛沫感染もしないとしている。ただ、はっきりとは判っていない面もあるようだ。
ヒトに症状を起こすエボラウイルスは「空気感染」することはありません。一方で、エボラウイルスが「飛沫感染」をするのかどうかははっきり分かっていません。患者さんの体液や血液が、傷ついた皮膚や粘膜に接触することで感染する(「接触感染」)ことは間違いないのですが、「飛沫感染」も起こすかどうかという点は、専門家でも意見が分かれているところです。
出典: MedicalNote「エボラウイルス感染症(エボラ出血熱)が空気感染する可能性は?」https://medicalnote.jp/contents/150518-000003-KYYZPJ
ただ、とくにかくインフルエンザのようにどんどん広がっていくことはない。
潜伏期間は2~21日。平均約1週間
潜伏期間は2~21日と結構幅がある。平均1週間。すると、アフリカでエボラ感染した人が気づかないまま飛行機に乗って、欧州経由で日本に到着。その後、発症するということは有り得るわけだ。
もちろん、そのための対策も取られている。
エボラ出血熱は、感染症法において、マールブルグ病やラッサ熱、クリミア・コンゴ出血熱、ペストなどの感染症とともに、一類感染症に指定されています。
出典: 厚生労働省HP「エボラ出血熱に関するQ&A」 https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/ebola_qa.html
流行地域からの帰国者で、一類感染症に感染した疑いのある人について医療機関等から連絡があった場合、国立感染症研究所で迅速に検査を行い、感染の有無 を確認する体制が整備されています。検査の結果、感染していることが明らかになれば、患者は感染症指定医療機関に移送され、感染防御対策の施された病室に おいて適切な医療が公費により提供されることになります。
ということで、日本でヒトからヒトへ感染が広がっていくことは極めて低い。ただ、エボラ患者発見!ってことになればマスコミは大騒ぎになるのかなあ?
ってことで、今回のまとめは以上です。
「素人がエボラ出血熱についてざっくりまとめてみた ~ 名前の由来は川の名前」への1件のフィードバック