「ドタキャン」は元は業界用語だそうだが、「刑事・鬼貫八郎」シリーズの1シーンでの用例

「ドタキャン」って元は業界用語!?

今では誰もが使う『ドタキャン』。しかし、もともとは業界用語だったそうです。

ドタキャンのドタは「土壇場」、「キャン」はキャンセルの略。あまりにドタキャンが一般化して、なんの略か知らない人いるみたい。デジタル大辞泉によると

どた‐キャン

[名](スル)《「土壇場キャンセル」の意》俗に、直前になって約束や契約を取り消すこと。

出典: コトバンク

って意味。まあ現在ではだれもが使う言葉なわけだけど、問題は元は業界用語ってこと。たとえば↓こちらのページ

90年代ごろから使われるようになったことだが、これを例証するドラマがある。

それは「火曜サスペンス劇場」でやっていた「刑事・鬼貫八郎」シリーズの第1作目「死びとの座」。

「刑事・鬼貫八郎」シリーズについて


鬼貫シリーズをざっと紹介すると、鬼貫八郎は東中野警察署に勤務する刑事で、大地康雄さんが演じられている。

クラシック音楽と太極拳を愛し(この辺はシリーズ後半に行くとあまりクローズアップされなくなる印象だけど)、糖尿病持ちで大の甘党である。なんとコーヒーに角砂糖を5個も入れてしまう。そういえば角砂糖自体、最近は目にすることもなくなりましたね…。

左時枝さん演じる奥さんからは、厳しい食事制限を言い渡されてるけど、外で買い食い。それを相棒の刑事さんに奥さんに告げ口されたり。

そのいつもは厳しい奥さんも、鬼貫さんが自宅で事件について悩んでいると、「1杯だけ」と言って水割りを出してくれる(ただし、今回取り上げる1作目では鬼貫さんのほうから指で1杯と催促している)。そこへ娘さんが帰ってきて、奥さんと娘さんのなんでもない会話から事件のヒントを得るというのがパターン。

ちなみに鬼貫家は、2時間ドラマ史上もっとも仲の良い家族だとわたくしは思っている。

第1作目「死びとの座」のドタキャンに関するシーン

第1作目「死びとの座」はドラマデータベースから引用(元はAXNミステリー広報資料)

大人気歌手・中島貴美子のモノマネタレント中島美貴子こと中山弓子の死体が中野の公園で発見される。凶器は拳銃。疑われたのは、弓子に言い寄ってきていた境という男。その境の死体が富士の樹海で発見される。拳銃自殺で、弓子殺害に使用された拳銃と同一であることが判明。警察は、変型の心中であり、捜査を打ち切ろうとするが、鬼貫は、違和感を覚え捜査の続行を懇願する。

出典: ドラマデータベース

ってなストーリーだが、このモノマネタレントが殺害された事件の会議のなかで、そのモノマネタレントに言い寄っていたというバンドマンについて刑事が報告

同僚刑事「それが昨夜から居所不明なんです。仕事には真面目な男で今日から名古屋に仕事が入ってるのにドタキャンだそうです」
鬼貫「なんです、その『ドテキャン』っていうのは?」
同僚刑事「『ドタキャン』です。土壇場でキャンセルするという業界用語だそうです」
鬼貫「あ、なるほど」
同僚刑事「ですから、所属事務所は捜索願を出すと言ってます」

というやりとりが出てきて、ドタキャンが芸能・放送業界で生まれた業界用語であることがまずわかる。

そしてこの1作目は1993年の放送。このころはまだそれほど一般的に用いられているわけではなく、少なくともおじさんには馴染みのない言葉だったことがわかる(鬼貫刑事の年齢設定は不明だが、大地康雄は当時42歳。思ったより若い…)。報告する刑事さんのほうもさほど若そうには見えないが、「〜業界用語だそうです」と言っているので、まだ馴染みのない言葉だったと見られる。

これではいつから一般的に用いられるようになったのはわからない。ただ、わざわざ「ドタキャン」という単語を入れたということはまあそこそこ用いられ始めていたのではないかと見られる。

もちろん、このシーンだけでもちろんどうこうは言えないだろうけど、2時間ドラマが貴重な(?)言語学的資料になるという事例を取り上げてみました。まあ2時間ドラマ、サスペンスは時代を移す鏡だと思うんだよね。

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