ちょっと前に松本清張の『点と線』を読んでいたら、こんな一節
すると、──すると、佐山とお時のどちらかは、以前にここに来たことがあるのではないか、と彼はふと考えてみた。警察でいう犯人の土地カンである。どうも、そういう土地にたいする知識なしには考えられないような二人の行動であった。
松本 清張. 点と線 (Kindle の位置No.583-585). 文藝春秋. Kindle 版.
があった。
これで思い出したのは『岩波 国語辞典 第七版』の「とちかん」の項目
その土地の地理・地形についての知識。「━がはたらく」 ▷もと、警察用語か
ともともとは警察用語のもよう。ただ岩国では「~か」とぼやかしてある。
気になったので、ちょっとネットで調べてみた。
https://www.tv-asahi.co.jp/announcer/nihongo/labo/lab_010/body.html
↑のページ見てみると、「『日本語「日めくり」一日一語』(読売新聞校閲部 中公新書クラレ)には ……1948年刊の『最新警察辞典』(立花書房)には 「土地鑑」の表記で ~」とあり、やはりもともと警察用語のようだ
「土地勘」か「土地鑑」かって問題になるけど、上のページでは田宮さんはぜったい「土地鑑 」とおっしゃっている。ちなみに清張は上記のように「土地カン」とカナ書き。上記、岩国では「土地鑑・土地勘」の併記。マスコミは今では「土地勘」で各社統一されているようだ。
あと
http://eorihime.web.fc2.com/book104.html
によると、『壁の眼』って作品では、清張もはっきり「警察用語の『土地カン』」 と書いてあるようだ。読んだことないけど、機会があれば読んでみるか。
清張ものは最近でもときどきドラマ化されるけど、ちょっといまいちなものが多いかなあ。もう時代が変わり過ぎたのか…、脚本があれなのか…
清張もので私の見たいのは大昔の火曜サスペンス劇場の『渡された場面』っていう作品。1987年の制作で、古谷一行さん主演で、坂口良子さん、 京本正樹さん、長門裕之さんなどが出演している。
とにかく印象に残っている2時間サスペンスの一つ。2サスと言っても、前後編で2週にわたって放送。
大昔見たきりだから、記憶も断片的だけど、原作に結構忠実だったのではないかな。
原作はちょっと前に読んだけど、四国の文学好きの捜査一課長が、文芸雑誌の同人誌評で取り上げられていた一場面が、捜査中の事件の被害者宅周辺の状況と似ているのに気づいて、再度捜査を進める。それが遠く離れた九州の女中失踪と結びついていくというもの。
原作では四国「A県芝田市」(愛媛・松山がモデル?)の事件と九州「坊城町」(呼子町がモデル?)の事件だけど、火サス版ではなぜか埼玉・秩父と九州になっている(四国と九州だと結構近いから?)もよう。この一課長を古谷一行さんが演じている。文芸雑誌の一節から、2つの事件が結びついていくところがいい。
うーん、また見てみたい。ユーチューブにはダイジェスト版がアップされている。残念ながら埋め込んでも YouTube でしか見れないので、URL だけ紹介。
坂口良子さん綺麗だなあ。京本さんも若い。いやー、全部見たい! BS日テレでやってくれないかなあ。
つーか、火サス自体、復活しておくれ!!